Top > 沖縄島ガールエンタ(エンタメ) > 【音楽】私財をなげうって島唄を広めたジャーナリスト・竹中労プロデュースの10作品が初CD化!
2014年7月18日
“反骨のルポライター”などの異名を持ち、芸能界や政財界に鋭く斬り込む筆勢に定評があったルポライター・竹中労氏。その竹中氏が沖縄民謡をプロデュースした名作10枚が初めてCD化、7月23日(水)、8月20日(日)の2回に分けて発売される(各2484円、税込)。
竹中氏はルポライターとして1969年に初めて沖縄を訪れた。当初は政治的な目的で沖縄入りしたものの、ある日、民謡歌手・嘉手苅林昌の歌を聴き、「これは後世に残していくべきもの!」と強く思い、その後、沖縄民謡に傾倒していく。
今回CD化される作品は、1974年に開かれた「琉球フェスティバル“語やびら島うた”」の実況録音をはじめ、嘉手苅林昌が料亭の座敷で即興で演奏したライブ、1975年に東京・日比谷野外音楽堂で行われた「琉球フェスティバル」の実況録音など計10枚。
そのうち7月23日には、『語やびら島うた 彈~嘉手苅林昌の世界~』『語やびら島うた 響~島々のうた~』『飄~嘉手苅林昌の世界 その2~』『情 ~嘉手苅林昌の世界 その3~』『1975年8月15日 熱狂の日比谷野音 VOL.1“戦場の哀れ”』『1975年8月15日 熱狂の日比谷野音 VOL.2“望郷” ~ふるさとを想う~』の6枚が発売。
その後、8月20日に『吟 ~嘉手苅林昌の世界 その4~』『恋 ~十九の春 島々のうた 第2集~』『汗 ~山原ユンタ 島々のうた 第3集~』『撥 ~島々のうた 第4集~』の4枚がリリースされる。
特に圧巻は、『飄~嘉手苅林昌の世界 その2~』『情 ~嘉手苅林昌の世界 その3~』の2枚。1974年に、沖縄市・コザにある料亭のお座敷で嘉手苅が三線片手に歌っているものを一発録音したもの。その躍動感、息遣いがまさに聴こえてきそうな作品に仕上がっている。
竹中氏が嘉手苅林昌に会ったのは、1969年11月3日。竹中氏が本土から沖縄の歌を聴きに来たと聞くやいなや、嘉手苅はそばにあった三線を手に取り、歌い出したという。午後おそらく早い時間から夜の10時まで歌い続け、竹中氏はその絶妙なフィーリングに一目ぼれする。
その時に竹中氏は沖縄民謡・島唄の本質を見抜き、レコーディングに際して「真物(ほんもの)をつくるためには、現地へ行かねばならない。タタミの上で、座敷で録音してこそ、はじめて島うたなのである」と、ライブ録音にこだわった。
1974年10月、コザの料亭「新橋」で、打ち合わせなしの録音を敢行。嘉手苅は竹中氏と初めて会った時にしていたように、そこにあった手拭いで向こう鉢巻をし、三線を手に、時には太鼓を混ぜながら、20数曲を一気に歌い上げたという。
竹中氏に関しては賛否両論があるのは事実だが、私財をなげうってまでも沖縄音楽を全国に広めようと奔走した功績は計り知れない。このCD10枚には、1974~1976年の本土復帰間もない激動の時代に録音された、嘉手苅林昌、登川誠仁、知名定男、大工哲弘らの名演の数々が収められている。今回のCD化にあたり、曲表記は知名定男が監修、そして、リマスタリングは、大工哲弘の『BLUE YAIMA』をプロデュースした、“音の錬金術師”の異名を取る久保田麻琴氏が担当した。
何よりもすごいのは、当時LPの解説書に掲載されていた竹中氏による解説を、極力当時のまま各タイトルに再録。楽曲解説だけでなく、当時の沖縄の状況に対する考え方などが“竹中節”で語られている。その著書がほとんど絶版になっている今、竹中氏の言葉に触れられるだけでも価値がある。
また、10タイトルすべてのCDを購入した人には、日本のロック文化を撮り続けたカメラマン・井出情児氏が1970年代に撮影した沖縄の唄者のポートレイトを集めた非売品のミニ写真集「琉球’74-’75 花-pana-」(20ページ、A6サイズ)が応募者全員にプレゼントされる。
再誕生した文化的にも意義深い名作たちを、この機会に若い世代の人たちが手に取ってくれることを願ってやまない。
『竹中労プロデュース 沖縄民謡名鑑10作品』
2014年7月23日(水)、8月20日(水) 各2484円(税込) 日本コロムビアより発売
7月23日(水)発売分
、『語やびら島うた 彈~嘉手苅林昌の世界~』『語やびら島うた 響~島々のうた~』『飄~嘉手苅林昌の世界 その2~』『情 ~嘉手苅林昌の世界 その3~』『1975年8月15日 熱狂の日比谷野音 VOL.1“戦場の哀れ”』『1975年8月15日 熱狂の日比谷野音 VOL.2“望郷” ~ふるさとを想う~』
8月20日(水)発売分
『吟 ~嘉手苅林昌の世界 その4~』『恋 ~十九の春 島々のうた 第2集~』『汗 ~山原ユンタ 島々のうた 第3集~』『撥 ~島々のうた 第4集~』