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旅と家族の関係性に共感!与那原恵の新エッセイ集発売中

2018年5月29日

ノンフィクション作家・与那原恵(よなはら・けい)氏のエッセイ集「帰る家もなく」(ボーダーインク)が、現在、発売中。

同書は、雑誌や新聞に寄稿した旅や与那原氏のルーツにかかわるテーマの文章と、書き下ろしの文章を集めたエッセイ。タイトルにもなっている「帰る家もなく」のほか、「時の散歩道」「旅の向こうに」「家出の自由」という章立てになっている。

導入は「スリーイー」から。与那原氏の父親の足音を聞き、「ひとりでいることになじんでしまった私(与那原氏)にも、すぐそばにいるひとの感情を自分の呼吸のように感じることがあった」と、繊細な感覚を与那原氏ならではの美しい言葉で表現している。

続く「那覇バスターミナルにて」では、与那原氏が沖縄県庁勤務時の父の住まいを訪ねた際の心の高揚感を綴り、読み手を一気に引き込んでいく。

第二章の「時の散歩道」、第三章の「旅の向こうに」は、与那原氏の知識力に脱帽の連続。江戸時代に琉球から江戸を訪れていた使節団「江戸上(のぼ)り」の見物人の中に戯作者の滝沢馬琴がいたこと、江戸町民の中に琉球ブームが起こったこと、柳宗悦と沖縄との関係、そして、図書館に対する素直な思いやあり方など、持論の展開が小気味いい。

そして、第四章の「家出の自由」で、タイトルの「帰る家もなく」にたどり着く。「家出」と「家族」がこれほどまでに関係していることに誰もが納得させられるに違いない。そして、「家出」と「旅」の表現の違いも。

与那原氏の旅が、根本で「家族」とつながっていることに考えさせられると同時に、羨ましさをも感じさせるのはなぜだろう。それは、私たちが旅に無意識のうちに求めていることを、超自然体でサラッと行い、かつ、それを人の心を動かす文章でアウトプットしていることにあるのかもしれない。

このエッセイを読みながら、次なる与那原氏の「家出」と、それが文章で綴られる日を、“家人(かじん)”となったつもりで心待ちにしている。

「帰る家もなく」
発売中 1,944円(税込) ボーダーインク