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沖縄の村落石獅子について楽しく学べるホッコリ探訪記が誕生

2022年9月16日

沖縄・那覇市で夫と一緒に石獅子製作所「スタジオde-jin」を構える若山恵里さんの著書「石獅子探訪記 見たい、聞きたい、探したい! 沖縄の村落獅子たち」(ボーダーインク)が発売中。

著者の恵里さんと夫の大地さん(通称“大ちゃん”)は共に沖縄県立芸術大学で彫刻を専攻。あるモノを削ってカタチにしていくという、いわば“彫刻脳”が2人に備わっていたことも相まって、ある日、那覇市上間の「カンクウカンクウ」と呼ばれる石獅子(村落獅子)と出合ったしまったことから、まさに人生が一変した。

以来、夫の大ちゃんは一心に石獅子創作に打ち込み、わずか1カ月で100体ほどの石獅子を作ってしまったそう。一方、恵里さんはその石獅子を販売するかたわら、沖縄県内の村落獅子を探し歩くことを始めた。

本書は、そんな恵里さんが13年ほどかけて訪ね歩いた約130体の石獅子(村落獅子)を写真とともに紹介している。2015年から地元の新聞・琉球新報の「住宅新聞カフウ」で連載していた「歩いて見つけた石獅子探訪記」をベースに加筆修正し、エリア別にまとめ上げた。

「私たちが石獅子を探し始めたころ」という導入から始まり、南城市、与那原町(よなばるちょう)、八重瀬町(やえせちょう)、糸満市、豊見城市(とみぐすくし)、南風原町(はえばるちょう)、那覇市、西原町、宜野湾市、北中城村(きたなかぐすくそん)、沖縄市、嘉手納町(かでなちょう)、うるま市、宜野座村(ぎのざそん)、東村と、南から北上し、市町村ごとに石獅子(村落獅子)の紹介が続く。

まずは「私たちが石獅子を探し始めたころ」をしっかりと堪能したい。若山夫妻のことから始まり、なぜ存在するのか、その向いている方向、何のために作られたのか、作られた石の種類など石獅子(村落獅子)を鑑賞するポイントも分かりやすく解説している。

そして、村落獅子のルーツとされる、村落獅子としては最大で最古の八重瀬町にある富盛(ともり)の石獅子からスタート。石獅子の写真はもちろん、サイズ(高さ、幅、奥行き)、向き、発見のしやすさ、探訪する際の危険度(危険な場所も多い)、そして、恵里さん独自に見出した石獅子の分類など、学者顔負けのデータがそろう。

恵里さんは字史(あざし)などその土地の文献だけでなく、昔を知る土地の人に話を聞くことで正しい情報を自分の中で咀嚼(そしゃく)し、それだけでなく、その土地の歴史や周辺の見どころまで整理してくれている。

本書のポイントは、恵里さんの“です・ます調”のほんわかした文章の表現とテンポ。淡々と語られると堅苦しい表現になってしまうが、恵里さんの表現のおかげで、むしろ楽しく、スイスイと頭に入ってくる。

南城市玉城(たまぐすく)字屋嘉部(あざやかぶ)の石獅子観察では、「彫りながら形を決めているのではなく、あらかじめどういう形にしたいか、しっかり下書きをしたデザイン性を感じ」るなど、彫刻を学んだ視点からの考察も交えている点や、沖縄本島南部は「石の調達が容易で質の良い石獅子達が揃ってい」るなど地質学的な視点もあり、感心させられてしまう。

また、それぞれの石獅子(村落獅子)に添えられたキャプション(説明書き)や、恵里さん直筆のイラストマップ、損傷が激しい石獅子をイラストで再現するなど、1冊まるごとで恵里さんの人柄が伝わってくるようで、思わずホッコリ。

「帽子かぶりました? カメラ持ちました? 日焼け止め塗りました? 虫除けスプレー持ちました? 準備はOK?」という恵里さんの呼び掛けに、急いで本書を手に取って「ちょっと待って!」と追い掛けたくなる、そんな1冊に仕上がっている。

「石獅子探訪記 見たい、聞きたい、探したい! 沖縄の村落獅子たち」
発売中 2,640円(税込) ボーダーインク